かねてより注目されてきたテーパリングの開始が2021年11月のFOMCで発表されました。
投資家はそれによってこれまで加熱してきた市場に対する影響を懸念し続けてきました。
そこで今回は、テーパリングの実施によってマーケットにどのような影響をもたらすのかを見ていきます。
目次
金利の影響 失業率に注目
長期金利は株式市場に大きな影響をもたらすので、投資家は皆金利を毎日チェックする必要があります。
今回のFOMCでFRBのパウエル議長はテーパリングは金利政策に影響を与えるものではないと主張しました。
これは、投資家の多くがテーパリングの終了とともに金利を上げることによって株式市場が一時的に冷え込むことを懸念していることを牽制する発言だと思われます。
また、「利上げは時期尚早であり、利上げをするための条件はより厳しい経済的条件を満たす必要がある」という発言を残しました。
その経済的条件については明言を避けておりますが、最大雇用のことだと推測されます。
特に、9月のFOMCで2022年末の失業率を3.8%と予想しているとの発言も残している為、最大雇用は失業率3.8%以下が目安となってくるでしょう。
テーパリングが実施されることは予想済み
機関投資家は今年の9月頃からテーパリングが行われる事は既に予想済みでした。
すなわち既に債券は売却済みだったケースが多いと予想されています。
また、悪材料の出尽くしから長期債が再び買われれば、長期金利は低下していきます。
そして、金利の下落は株式のバリュエーションを高めます。
その為、高PERであるグロース株にとっては大きな追い風になるという予想も立ちます。
金融緩和はこれからも続くが来年1月までは株式市場は好調?
テーパリングは2021年の11月末から2022年の6月末まで続きます。
つまりそれまでは縮小しつつも金融緩和は続いていきます。
さらに、例年11月〜1月の株式のパフォーマンスは高い事から、現状好調に成長している市場はしばらくこのまま上向きでいくと予想している投資家が多いです。
2022年2月以降の動向は要注意
人材や原材料が不足したり、コストが増えた分価格を上げざるをえなくなるなど、サプライチェーンの混乱が仮に来年の2月になっても終わらない場合、長期金利は再び上昇し始めるかもしれません。
そうすると株式のバリュエーションが低下することによってグロース株の足かせになります。
パウエル議長は利上げについては明言を避けておりますが、来年6月以降に利上げが実施される可能性も大いにあり得ることから、2022年2月以降は慎重に投資を進めていく必要があります。