バイデン米大統領は22日、米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を再任すると発表しました。
大方予想通りとはなりましたが、仮に米議会の上院に承認された場合、2022年2月から2期目に入り、任期は4年継続となります。
それを受けての株式市場への影響を改めて見てみましょう。
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パウエル議長はハト派
議長にはパウエル氏が、副議長にブレイナード氏が指名されました。
彼らはいずれもハト派と呼ばれています。
ハト派とは、金融政策については景気への配慮を重視し、金融緩和に前向きなスタンスを取る人達のことを指します。
バイデンが指名したことから、現状構想されている1.75兆ドルの大型法案が可決への道を辿るのではないかと予想されます。
それは、景気が活発になりますが、引き締めを急がねばならない状況も招きます。そう解釈された事により市場は大きく動きました。
金利の動向から読み取れる事
そもそも長期金利は市場参加者が遠い未来のインフレ率がどうなっていくかという事に敏感に反応します。
つまり、インフレになると市場が予想すれば長期金利は上昇します。
そして、短期金利は、政策金利が今後どうなるかによって大きく左右されます。
つまり、利上げがされると判断したら短期金利は上昇します。
パウエル議長の再任により短期金利が上昇しました。
つまり、利上げが早まる事や2022年に複数回利上げがされることがマーケットに織り込まれました。
市場への影響は
今回のポイントは、金融政策の継続性の確保です。
アメリカは世の中に出回るドルを減らして、テーパリングと呼ばれる緩和の縮小と利上げに向かう重要な転換期になっています。
アメリカは、景気が回復して人々の給料が上がるスピードよりも早く物価の上昇が続いています。
どこかで加熱した景気を抑える利上げを行う必要があります。
そのタイミングを慎重に図ろうとする既定路線のパウエル氏の再任が望ましいと、バイデン大統領は判断したのでしょう。
市場との対話を重視するパウエル議長の再任が伝わると、ダウは一時300ドルを超える上昇となりました。
そこから読み取れる通り、市場も歓迎しているようです。
バイデン大統領にとって経済は政権維持の命綱ですので、日本経済にとっても大きな影響を与えるドル高・円安はしばらく続くと思われます。