米国株は近年高い成長が続いています。
2022年はその成長が一旦小休止する年になるという見方があります。
また、テーパリングや利上げが予定されていることから、PER(株価収益率)の低下が予想されます。
これにより株価が伸びにくい状況となっています。
一方で、近年の株価の成長はEPS(一株当たり利益)の成長に支えられていることも間違いありません。
その成長度合いによっては2022年も変わらず株価上昇を期待できます。
本記事では、このPER低下とEPS成長の観点から、2022年の米国株の展望を考察していきます。
目次
株価の計算式
株価は「株価=PER(株価収益率)×EPS(1株当たり利益)」という式によって決まります。
EPSは予想値が用いられることが多いです。
2022年はPER低下とEPS成長が予想され、そのバランスによって株価の上昇or下落が決まります。
以下、PER低下とEPS成長について考察していきます。
PERの低下要因
PERは株価のバリュエーションです。
相場環境や投資家心理など様々な要因によって変動するもので、「この水準が適正」と言える数値は存在しません。
過去のデータをもとに「これぐらいが妥当」と各々の投資家が判断します。
コロナショック以降、FRBの債券買入れにより市場に資金があふれ、コロナショック前の2020年1月から現在まででPERは24.88から30.19に上昇しました。
これに対し、2022年にはテーパリングや利上げといった金融政策により、PERの低下が予想されます。
今後は市場に投入した資金を引き上げ、バランスシートを縮小する可能性も考えられ、さらにPERを押し下げる要因となるでしょう。
EPSの成長
EPSは「当期純利益/発行株式数」から計算される数値で、決算毎に発表されます。
EPSは利益が成長すれば増加します。
また、自社株買いにより分母の発行株式数が減少した場合もEPSが増加します。
決算でその次の期の予想EPSが市場コンセンサスに対して上下すると、その分株価が上下する材料となります。
2022年のS&P500の予想EPS成長率は8.4%となっています(出典:野村證券 週刊米国株式展望2021年12月27日)。
2022年の米国株の展望
PERが現在の30.21からコロナショック直前の2020年1月時点の24.88まで仮に低下すると考えると-17.7%となります。
EPS成長率を上記で述べたように8.4%としてS&P500を計算すると、(100-17.7)%×(100+8.4)%=89.3%となり、-10%近い下落となります。
実際にはこのような大きな下落とならないように、FRBが利上げやバランスシート縮小のペースを決定していくと思われます。
これによりPER低下が緩やかになり、長い年数をかけてコロナショック前の水準に戻っていくと考えられます。
このため上記の計算は、EPSが予想通り成長すれば、最悪のケースでも10%程度の下げで済むという見方ができます。
このように考えれば、2022年の多くの金融政策に対しても安心して投資ができるのではないでしょうか。