米国株ETFといえば、VOO(S&P500ETF)やVTI(全米株式ETF)を保有されている方が多いと思います。
VOOやVTIはバランス良く分散投資できる反面、パフォーマンスの悪い銘柄も多く含まれており、それらがリターンを押し下げます。
一方、特定の業種・業界のみで構成された、セクターETFというものがあります。
セクターETFは、分散効果が弱いためリスクが増しますが、好調な業種・業界のみに投資することができ、大きなリターンを望むことができます。
そこで本記事では、セクターETFの全11種類をまとめてご紹介いたします。
目次
米国株の11種類のセクター
米国株は産業によって以下のような11のセクターに分類されています。
同じセクターに属する銘柄は、景気や金利に対して同様な値動きをする傾向があります。
例えば好況時には、贅沢品を購入する人が多くなりますし、企業は積極的に設備投資を行うようになります。
このため、一般消費財および資本財セクターのパフォーマンスが良くなる傾向があります。
逆に不況時には、贅沢品の購入や設備投資が抑えられるため、一般消費財や資本財セクターのパフォーマンスは悪化する傾向にあります。
一方で、生活必需品、医療、インフラ関係は好不況に関わらず需要があります。
このため、生活必需品、ヘルスケア、公共事業セクターのパフォーマンスが良くなる傾向があります。
このように、セクターによって値動きの特性があります。
このため、景気循環の波に乗って好調なセクターに投資することができれば、その分リターンを向上させることができるのです。
米国株セクターETF11種
好調なセクターに投資したい場合に便利なのがセクターETFです。
米国株のセクターETFには、バンガード社のETFとステート・ストリート社のSPDRシリーズのETFがあり、以下のように各社で11種ずつのセクターETFがあります。
バンガード社ETFは全米、SPDRはS&P500の銘柄で構成されているという違いがあります。
しかし、VTIとVOOで株価にほとんど差がないように、こちらも値動きにほとんど差がありません。
ただし、経費率はバンガード0.10%、SPDR 0.12%ですので、バンガード社ETFの方がオススメです。
各セクターETFのパフォーマンス
それでは、各セクターETFのパフォーマンスを見ていきましょう。
1年、3年、5年のトータルリターン(配当+値上がり益)と配当利回りは下表のようになっています。
セクター | ETF | 1年 | 3年 | 5年 | 配当利回り |
エネルギー | VDE | 119.21% | 1.05% | 0.76% | 4.41% |
素材 | VAW | 38.42% | 20.42% | 14.57% | 1.7% |
資本財 | VIS | 35.89% | 17.52% | 14.94% | 1.28% |
一般消費財 | VCR | 39.17% | 29.92% | 23.72% | 1.86% |
生活必需品 | VDC | 15.32% | 12.88% | 9.28% | 2.24% |
ヘルスケア | VHT | 25.1% | 17.75% | 16.94% | 1.39% |
金融 | VFH | 68.23% | 19.41% | 17.2% | 2.17% |
情報技術 | VGT | 38.79% | 34.6% | 30.38% | 0.83% |
通信サービス | VOX | 35.5% | 22.4% | 11.32% | 1.02% |
公益事業 | VPU | 7.93% | 10.7% | 10.16% | 3.23% |
不動産 | VNQ | 43.41% | 16.47% | 10.26% | 2.4% |
2021年10月現在
直近1年は米国株全体のパフォーマンスが良かったため、トータルリターンガ30%を超えるセクターが多く見られます。その中でも特にVDE(エネルギー)とVFH(金融)のパフォーマンスが良いです。
特にエネルギーセクターのトータルリターンは100%を超えています。これはコロナショックで大きく下げた株価が、ここ1年でようやく回復してきたためです。3年・5年のトータルリターンは1%程度しかなく、株価はコロナ以前の水準を未だ取り戻せていません。
より長いスパンで見るとVGT(情報技術)とVCR(一般消費財)のパフォーマンスが際立ちます。VGTにはアップル・マイクロソフトなど、VCRにはアマゾン・テスラなどの、パフォーマンスが市場平均を上回る銘柄が多く組み入れられています。
また、VOX(通信サービス)については、通信サービスセクターが2018年に変更され、グーグルやフェイスブックをはじめとするSNS企業が組み入れられました。それ以降、パフォーマンスが大きく向上しています。
このようなセクターETFに投資することで、個別株に投資することなく、好調な業界・業種に投資することができます。
なお、上記の3つのセクターETF(VGT・VCR・VOX)については以下の記事にて詳しく解説しています。
関連記事:アメリカ高成長セクターETF3選(VGT,VCR,VOX) VTIやVOOだけからレベルアップ
セクターETFはこんな人にオススメ
セクターETFは同じセクターの銘柄で構成されているため、金利や景気に対して構成銘柄すべてが似たような値動きをします。
このため、リスク分散があまりできないことに注意が必要です。
一方で、好調な業界であれば、その恩恵を十分に享受することができます。
このため、セクターETFは以下のような方にオススメです。
- 好調な業界に集中投資したい方
- VTIより良いリターンを狙いたいが個別株を選ぶのは難しい方