米国株は長年右肩上がりで成長を続けてきました。
1日の値動きが元の指標のX倍となるレバレッジETFは、その成長によるリターンを拡大することができるため人気があります。
一方で、レバレッジETFは通常のETFとは性質が異なるため、運用する際には以下の点に注意が必要です。
- 値動きが激しく、下げ相場での値下がり幅が大きい
- 株価が大幅下落時すると、早期償還されるリスクがある
- ボックス相場ではパフォーマンスが悪化する
これらのポイントを抑えた上でレバレッジETFを運用しないと、「欲張らずに通常のETFにしておけばよかった」と後悔することになりかねません。
そこで本記事では、レバレッジETFを運用する際に注意しておきたい3つのポイントについて解説していきます。
目次
下げ相場での値下がり幅が大きい
レバレッジETFは1日の値動きが元の指標のX倍となるように運用されているため、その分値動きが激しいです。
このため、相場が下落する局面では値下がりが大きくなります。
例えば、コロナショック時にVOOは直近最高値から32%下落しましたが、その3倍ブルレバレッジETFであるSPXLは75%下落しました。
「いつかは株価が戻ってくるから持ち続けていればいい」と思われるかもしれません。
しかし、実際に株価が75%下落をするような局面で狼狽売りせずにいられるでしょうか?
仮に狼狽売りしてしまえば大きな損失となるため、自分のリスク許容度をしっかりと把握した上でレバレッジETFに投資をしましょう。
大幅下落時の早期償還リスク
資産総額の少ないレバレッジETFでは、ファンドの資産が枯渇して早期償還されるリスクがあります。
償還されると、自分は持ち続けていたくても損失を確定させなくてはなりません。
つまり、「株価がどれだけ下がっても売らなければ良い」と決意していても、そのようにはいかないケースもあるのです。
なお、資産総額の大きいETFであれば早期償還リスクは小さくなります。購入前に資産総額を確認するようにしましょう。
ボックス相場でパフォーマンスが低下する
レバレッジETFは株価の上昇と下落を繰り返すボックス相場ではパフォーマンスが悪くなります。
ブル3倍レバレッジETFを例にして説明します。
通常のETFが一日に3%下落した場合、レバレッジETFは9%下落します。
この時点で通常ETFは元の株価の97%、レバレッジETFは91%になります。
翌日、通常のETFが元の株価に戻った場合、100/97≒3.1%の上昇になります。レバレッジETFはその3倍の9.3%上昇します。
この時点で通常ETFは元の株価に、レバレッジETFは91%*109.3%=99.4%になります。
このように通常ETFが元の株価に戻っても、レバレッジETFは元の株価には戻りません。
これに加えてレバレッジETFは通常のETFよりも経費率が高いです(例:S&P500の通常ETFのVOOは0.03%、ベア3倍レバレッジETFのSPXLは0.95%)。
このため、ボックス相場においてレバレッジETFのパフォーマンスは通常のETFよりも悪化してしまいます。十分に注意して投資しましょう。
まとめ
米国株のレバレッジETFがこれまで非常に高いパフォーマンスであったことは間違いありません。しかし、レバレッジETFは通常のETFとは性質が異なるため、以下の点に注意して運用しましょう。
・下げ相場での値下がり幅が大きい
・大幅下落時に早期償還されるリスクがある
・ボックス相場でパフォーマンスが低下する