米国株投資の中でも高配当ETFの代表格であるHDVやSPYDをはじめ、配当金(インカムゲイン)を狙う投資は個人投資家の間でも人気があります。
私も米国株のポートフォリオの50%以上はMO(アルトリアグループ)を筆頭に、高配当株で占められています。
しかし、昨今のアップルやマイクロソフトのような情報技術セクターに属する企業の好調ぶりから、高配当投資をやめて、安定した値上がり益を狙えるVOOのようなETFをメインにした方針に変えようと思っています。
この記事では高配当銘柄(米国ETF含む)のデメリットについて主に紹介していきます。
目次
SPYDを筆頭に、高配当株(ETF)がダメだと思える理由
SPYDはステート・ストリート社が運用している米国ETFの一つであり、配当利回りの高さから個人投資家にも人気がある上場投資信託(ETF)です。
そんな高配当ETFであるSPYDの特徴を簡単にまとめると
- 配当利回りが他の高配当ETFと比べて高い(年率平均4%以上)
- 組み入れ銘柄はS&P500のうち約80社で構成される
- 80社の組み入れ銘柄は均等割合で分散される(均等荷重)
- 値上がり益(キャピタルゲイン)が得られにくい
ということです。
では具体的に、SPYDのような高配当株(ETF)が駄目だと思える理由を見ていきます。
高配当株はキャピタルゲイン(値上がり益)が得られにくい
S&P500の高配当銘柄上位80社に均等投資されるETFのSPYDは、半年に1度の頻度でリバランス(組み入れ銘柄の入れ替え)を行っています。
リバランスによって外された理由の一つに「株価上昇によって利回りが下がった銘柄」も含まれています。
言い換えれば、高配当だからこそ株価の上昇が抑えられていると言えます。
インカムゲインとキャピタルゲインはトレードオフの関係にあるのですね。
実際にSPYDの5年チャートを見てみると、株価の値上がり幅が限定的であることが分かります(2020年3月の急落はコロナショックによる影響です)。
そのため、ベンチャー企業や情報技術のような成長産業のように、株価の大幅な値上がり(キャピタルゲインが得られない)を期待できません。
配当金の大幅減配リスクが常にある
SPYDの2021年12月に支払われた配当金が前年同月比-79%の大減配(2021年通年では-5%程度の減配)となったのは記憶に新しいでしょう。
このように、高配当銘柄(特にETF)は大幅な減配が起こりうるリスクが常にあると言えます。
米国配当金の二重課税によって得られるリターンを取り崩している
特定口座で米国高配当株(ETF)を運用する場合、四半期ごとに配当金がもらえます。
ただ、配当金は税金が源泉徴収されたあとの金額になるので、実質7割程度の金額になります。
そのため、配当金が支払われるごとに税金を払うため、配当金再投資型よりもリターンが低く抑えられていると言われています。
企業が成長するためではなく、株主に配当金を還元する
高配当株の多くは配当性向(配当金額が占める企業の利益の割合)が比較的高い割合に位置しています。
例えばアップルのような高利益体質の企業でも、配当性向は10%台と低くなっています。
それは企業利益(配当金の原資)を株主に還元する目的ではなく、企業の成長に使うからなのです。
したがって、高配当銘柄の多くは配当性向が高く、企業利益を株主に還元していると言えます(もちろん例外はあります)。
将来的に高配当銘柄になる企業(連続二けた増配率が期待できる)を選ぶ
高配当銘柄の大きなデメリットを紹介してきましたが、毎四半期ごとの配当金はやはり捨てがたいと思う人も多いでしょう。
そのためには配当利回りだけに目を向けるのではなく、「連続増配率」も合わせて検討するべきです。
安い株価で買ったのち、毎年のように配当金が増えていけば(連続増配)、最終的に株価の買い付け単価に対して配当利回りが高くなります。
そのためには、長期目線での投資が必要になりますね。
以前、連続増配銘柄で構成されるバンガード社のETFであるVIGを紹介していますので合わせてごらんください。